プレス用金型の設計・製作を中心に事業を展開するヤマト技研。近年は金型のメンテナンスや部品加工なども手掛け、事業領域を拡大する。新規分野のニーズに対応するため、プレス成型解析や、同時5軸マシニングセンタ(MC)、5面門型M…
デンソー 放電加工の自動化システム開発 電極設計から加工まで一気通貫
デンソーは、形彫り放電加工の自動化システム「Master ED」を開発し、電極設計から加工までの一気通貫を実現。同システム導入後、放電加工に関わる時間が大幅に短縮された。また、段取りや加工を標準化し、個人のスキルに依存する作業を削減した。
同社が手掛けるカーエアコン用の金型は複雑形状が多く、切削加工だけでは完結しないため、形彫り放電加工が必要となる。「1部品当たり20~30個の電極が必要となり、加工にかかる時間の約3割を放電加工が占めていた。そのため、自動化を推進し、作業時間を短縮する必要があった」(部品加工開発部 型開発西尾工場 型4課 神谷将一班長)。
電極の集合状況を可視化
同システムは、「電極の集合状況を見える化」、「電極の自動測定」、「加工プログラムの自動作成」が可能だ。まず、設計者は電極設計後、図面を出力する。出力されたタイミングで「Master ED」にも図面情報が自動転送される仕組みだ。これにより、同システムへ電極情報が蓄積・更新され、スケジューラと連動する。加工に必要な電極がそろっているかなどを現場のモニター画面で一覧表示できる。

システム導入前は、電極の一覧表を紙で作っており、現状を把握するのに時間を要していた。必要な電極を探すのに2時間かかることもあったという。「電極がそろったらモニター画面の電極番号の色が変わるので、次の工程に移れるかどうかを即座に把握できる。電極の集合状況を見える化することで、電極を探すといった作業時間も解消された」(神谷班長)。
自動測定プログラムは位置決めから形状チェックまで実施
加工に必要な電極がそろったら、電極の測定を自動で行う。測定に必要なプログラムは、図面出力時に登録された電極情報を基に「Master ED」で簡単に自動作成できる。作業者は生成されたプログラムを実行するだけで電極測定が可能だ。
自動測定プログラムはATC(自動工具交換装置)にセットされた電極を取り出した後、XYZの座標を基準球で計測し、正しい位置決めを行う。その後、電極の中心座標を抽出し、形状チェックを実施することで、使用する電極が間違いないかも確認できる。もし、間違えていた場合はアラーム停止機能が発動するため、作業ミスを防ぐことが可能だ。
従来は、電極測定時、基準面にどのように当てるかを作業者が1つずつ判断し、手動で数値入力する必要があった。また、電極が荒加工用か仕上げ加工用かを間違えるケースもあり、個人のスキルに依存していたという。システム導入後は、測定時間の短縮に加え、電極の付け間違いなどのヒューマンエラーが低減した。「自動測定している間に、並行して別の作業ができるようになった点も大きなメリットだ」(神谷班長)。

加工条件を標準化し、加工プログラムも自動作成
同システムは、加工プログラムも自動で作成。測定と同様、「Master ED」で簡単な操作を行うことで自動作成される。作業者は操作画面から電極を選択するだけで、最適な加工条件による加工が可能だ。「もう少し面を寄せたいといった最後の一押しは必要だが、加工の9割方は自動生成されたプログラムで完結する。手入力がなくなり、加工プログラム作成時間や加工不良率が約9割削減された」(神谷班長)。
同社は放電加工の加工条件を標準化。最適な加工条件を複数パターン化し、あらかじめ用意している。加工プログラムは、図面の情報(電極の用途、送りピッチ、材料、クリアランスなど)を基に、用意された加工条件の中から最適なものが自動で選定される仕組みだ。


加工プログラムの自動作成は品質安定化にもつながっている。神谷班長は「最適な加工条件が選択されるので、誰が加工しても仕上がりに差がでなくなった。加工条件設定の属人化を解消できたのは大きな成果」と話す。
同システムは電極設計者が図面出力するだけで、後続の作業に必要なデータが全て自動生成されるため、作業者の手間が増えない点も大きな特長だ。また、特定のメーカー・設備に依存しないため、柔軟なシステム構成を可能としている。
今後について神谷班長は「さらなるシステムの改良を目指す。加工時間の予測や、形状面の面粗さに応じた加工条件の設定を可能にしたい」と話した。

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