北米のアルミニウム協会などの調査によると、自動車の1台当たりのアルミ使用量は軽量化のために増えていくという。プレスや押し出しもあり、アルミ=ダイカストと限らないが、アルミの動向はダイカスト型にとって影響は少なくない。で…
【プレス型特集】強みを維持し続けるには…
日本金型工業会 学術顧問 横田 悦二郎氏に聞く
プレス金型の強みと未来
ゼロベースで知恵絞る
得意な分野で連携を
顧客の生産技術をサポート
日本金型工業会の学術顧問を務める、日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は、日本のプレス金型の強みを「他の型種に比べ、技術の蓄積が生かせる部分が大きい」と話す。その強みを維持し続けるには何が必要なのか。プレス金型の強みと未来を聞いた。
―プレス型は他の金型に比べ競争力があるといわれている。
「一足飛びで技術の習得ができず、技術の蓄積を生かせる部分が大きいからだ。タンデムを知らなければ、トランスファーも順送もできないし、熟練の研磨技術も必要で、ノウハウ習得に時間がかかる。一方で、材料も進化し、要求精度も上がるなど、プレス型に必要な技術は進歩している。だから技術蓄積のある日本メーカーが強い」。
―それを維持し、高めていくには何が必要か。
「分業が進み、以前ほど最終ユーザーが金型の知識を持っていないことや、金型調達も含め丸投げするケースが増えている。だから、金型メーカーがユーザーとプレスメーカーの間に入って金型の知見を提供することが必要になっているケースが増えている。こうしたエンジニアリング的な能力は金型メーカーが元々持っているので提供できれば強みになる」。
「一例だが、私が社外取締役を務めるプレスメーカーでは、海外でプレスと金型メーカーの2社を作った。これまでとは異なり、金型企業を親会社にして、営業も当選ながら、金型の知見を提供するユーザーとの窓口とした。現地に金型の知識を持った会社が少なかったことなどもあり、かなりうまく行っている」。
―ほかには必要なことは。
「プレスに限った話ではないが連携は重要だ。今は1社で全て手掛ける時代ではない。すでに同業同士で仕事をやり取りするケースが増えている。お互いの得意不得意を補うことで、新しい仕事の獲得につながる」。
―今後プレス型メーカーが強化すべきことは。
「設計力が圧倒的に足りない。自動車の軽量化による成形材の変化や、金型のユニット化など、プレス金型は高度化していく。抜く順番やレイアウトなど金型全体を考えられる設計力がより重要になる」。
「何か特長を持たないと生き残れないのは確か。例えば独自性の高い技術や圧倒的な設備力などなんでもいい。今は何でもありの時代。ゼロベースで考え知恵を絞って特長を出すことが、重要になってくると思う」。
金型新聞 平成29年(2017年)7月4日号
関連記事
今年1月、超硬合金製の耐摩耗工具や金型を手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、03・3759・7181)の新社長に春田善和氏が就任した。同氏は管理畑を歩み、財務部長や企画部長を歴任。海外拠点の立ち上げや、事業戦略の策定などに…
ダイカスト市場に参入 「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナ…
特殊鋼材料の販売や金型のメンテナンスを手掛ける商社の南海モルディ(22年9月に南海鋼材から社名変更)は、オリジナル製品「予熱くん」や「肉盛りくん」を開発、販売し好評を得ている。 「予熱くん」は、製造前の金型予熱、焼き嵌め…
独自の力を醸成 壁を乗り越える 新時代の経営戦略 座談会出席者(50音順) 伊吹機械 伊吹宏一営業部長 事業の80%がプレス金型、20%がプレス金型組込産業機械。プレス金型はこの20年で自動車関連の仕事が大幅に増え、7…