金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

29

新聞購読のお申込み

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文部科学省の地域科学技術実証拠点整備事業に採択され、大学や企業が協働で金型やプレス機、射出成形機のスマート化を図り、AI解析も含めたIoTプラットフォームと連結させ、成形不良の予兆や自律的に成形や加工条件を調整できる画期的なシステムの開発に取り組んでいる。研究開発にはプレス成形メーカーや樹脂成形メーカー、プレス機メーカー、射出成形機メーカーほか、金型メーカーやセンサメーカー、ソフトウェアメーカーが参画し、プレス・鍛造・樹脂の3チームに分かれ、個々のテーマに沿った共同研究を行っている。あれから約1年半が経ち、研究開発の進捗を同大学の王志剛副学長に聞いた。

センシングしAI解析

研究の目的は?

 成形不良を検出するようなシステム、または不良を出さない生産システムの確立が大きな目標。突発的あるいは徐々に不良品になる要因に対し、機械で自律的にコントロールする仕組みを作りたい。従来のシステムでは生産したワークを画像検査あるいは全数検査が必要だったが、自律的に不良品を取り除く新しいシステムを作る。

射出成型のセンシング

現在の進捗はなんでしょう?

 金型のセンシングを行い必要なデータを抽出し、取得したデータをAI解析するところまできた。チームでテーマが異なるため、どういったセンシングを行っているのかは一概に言えない。一品一様といえるが、各チームともにほぼ同じ進捗状況になっている。

難しいところは?

 金型をセンシングし、データを取得して分析するというプロセスだが、どんな不良現象についてセンシングするのかは分野で異なるため、プレスまたは樹脂のプロフェッショナルな人材が必要だ。課題も変わればセンシングの方法も異なる。ただセンシングしAI解析すれば答えが出ることはなさそうだ。

人とAIやりとり必要

解決には何が必要ですか?

 何を測る、どう測るなどは人間の能力で、AIの分析においても人間とAIのやりとりが必要だ。年2回情報交換会を設けており、各チームの研究状況や課題などを共有し、課題解決につなげている。

不良ゼロは可能でしょうか?

 ゴールはまだ先。金型をセンシングして機械が自律制御(コントロール)できるようにならないと、これまでとの違いが示せない。センシングやAIは従来システムにないもので、足したら何かを省かないと意味がない。不良を生まない、あるいは機械自身で不良をはじくことができて初めてAIを組み込む意味が出てくる。

金型しんぶん 2019年9月10日

関連記事

【この人に聞く】マーポス、マルコ・ゾーリ社長

 今年、日本法人設立50周年を迎えたマーポス(東京都大田区、03 -3772-7011)。精密計測機器を手掛け、特に金型分野ではタッチプローブやレーザーによる工具やワークの計測などで、日本の金型づくりを支えてきた。近年は…

三井精機工業 金型向けMC新機種の新機種

EVや5G関連に提案 三井精機工業(埼玉県川島町、049-297-5555)はこのほど、カメラレンズや精密部品用金型などの微細加工向けマシニングセンタ「PJ303X」と、大型プレート加工に適したジグ研削盤「J750G」を…

この人に聞く
オークマ 家城 淳社長に聞く

 令和元年に新社長に就任したオークマ・家城淳社長。市場が不透明化している中、「機電情知一体」「日本で作って世界で勝つ」を掲げるオークマの今後について家城社長の思いを聞いた。  家城淳社長愛知県出身。85年大隈鉄工所(現オ…

新日本テック 産学連携でネットワーク構築し、金型の課題解決【金型の底力】

超精密金型部品や機能性金型部品、金型製作(プレス・モールド)を手掛ける新日本テックは設備や配管内に溜まった水垢(スケール)を除去する金型用水あか防止洗浄液を開発した。射出成形金型の温調水を流す配管のスケール除去などに有効…

―スペシャリスト―ファム<br>±2ミクロンの要望に応える

―スペシャリスト―ファム
±2ミクロンの要望に応える

測定ゲージで未来拓く 高級自転車部品や自動車部品などの加工品質を検査するためのゲージを手掛ける会社がある。創業29年のファム。精密金型部品で培ったノウハウを生かし、ゲージも製作。超精密なゲージを安定して作れる技術力で、メ…

トピックス

関連サイト