金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

24

新聞購読のお申込み

BtoC向け開拓に力 浦竹重行氏(東亜成型社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められている。既存の事業を強化するのか、派生技術を伸ばすのか、あるいは新事業に手を伸ばすのか。さまざまな戦略が考えられる。金型メーカー経営者にインタビューし、次の10年を勝ち残るための戦略について聞いた。

自社商品を創る

自動車シート用のウレタン発泡用金型の設計、製造を手掛ける東亜成型は、自社開発のバーベキュー用の料理器具の販売も行っている。今後はBtoC向け開拓にも注力するという浦竹社長に、新ビジネスに挑むために必要なことを聞いた。

東亜成型 浦竹重行社長

金型メーカーはどこもそうだと思いますが、当社も受注の波が激しく、不況時には一気に暇になってしまいます。そんな中で売上の分散を図るため、不況時でも自社の努力で売れるBtoC向けの自社製品の開発は、以前から考えていました。

試行錯誤の上完成したのが、バーベキュー用の料理器具「グリルQ」です。「たこ焼きを作りながらお好み焼きも焼きたい」というアイデアから始まり、販売に至りました。

自社製品を売り出す際に大切なのは、自社でできることとできないことの見極めだと思います。例えば製品のPR。自社だけ行っては効果が薄いと考え、広報用のWEBサイト作りはブランディング業社に依頼し、費用をかけて専門家に任せました。一方、広報サイトの更新は自社で行っています。自社でできることは自社で、無理なものは外部に任せる。それだけで、無駄にお金をかけたり本業をおろそかにしたりせず、効率的な製品開発や広報活動ができます。

今後は、一般顧客向けの部品製造も考えています。例えばバイクのカスタム部品。車種によっては、装備を諦めるしか自作するしかない。そういった「欲しいけど存在しない」商品は、BtoCビジネスの中に埋もれているはず。それらの需要に対して上手く受注システムを整えれば、さらに多様な市場に挑むことができると考えています。

他の特集記事は以下から

金型新聞 2023年1月10日

関連記事

シミュレーションソフト【Breakthrough!】

金型のユーザーニーズとして普遍的なものが短納期化。昨今は開発期間の短縮など金型生産に費やす時間が短くなっているほか、コスト削減のため工数削減(手戻り削減)が大きな課題となっている。そこで重要なのがCAEの有効活用だ。近年…

【座談会】金型メーカー・自動車メーカーが語る
次世代自動車の登場で金型づくりはどう変わるのか
ー2030年の金型業界ー 第2部

〝知能〟と〝智能〟を区別 金型メーカーなりの自動化   前号では、「次世代自動車の登場で金型がどう変わるか―2030年の金型業界―」について、現状の課題や見通し、考え方などいろいろな意見が出された。2回目の今月号は、そう…

【特集】どうする、金型人材の確保と育成

目次PART1:日本工業大学専門職大学院専任教授 小田恭市氏インタビューPART2:人材確保編PART3:人材確保編PART4:金型経営者に10の質問PART5:あの指導が成長につながったPART6:記者の目 PART1…

進む自動化・見える化 複数の加工工程を集約する生産システムの構築【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

鉄やアルミをマグネシウムに置き換え 藤岡エンジニアリングが進める軽量化提案

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

トピックス

関連サイト