金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

18

新聞購読のお申込み

【インタビュー】名古屋精密金型 ・坂元 正孝社長「工場間の連携強化へ 」

プラスチック金型を手掛ける名古屋精密金型(愛知県知多郡東浦町、0562-84-7600)は7月、坂元正孝氏が社長に就任した。同社の工場は本社、熊本、宮崎とベトナム、インドネシアの5工場で金型を製作している。金型業界を取り巻く環境が変化する中、同社も次世代に向けた新たな取り組みを始めた。そこで現状の課題と今後を坂元社長に聞いた。

さかもと・まさたか
1963年生まれ、宮崎県出身。82年日南工業高等学校卒、83年日本電装学園(現デンソー工業学園)卒。90年同社入社、2004年宮崎工場工場長、10年執行役員、13年取締役、同年ベトナム工場社長、19年副社長。好きな言葉「金型づくりは人づくり」

内外の人材交流密に

現状の課題は。

当社の国内工場にはそれぞれ微細加工や複雑形状など得意な加工技術を持っており、それを共有し技術を高め合う環境が出来ていなかった。昨年から改善活動の一環としてMPS活動を実施し、各工場の設計やCAM、機械、仕上げ、業務など各課の担当者がオンライン会議で情報交換を図る場を設けている。各工場には課題があるが、その答えを他の工場が持っているケースは多い。工場間で情報を密にし、しっかり連携できれば、工場のレベルアップになる。

海外の工場は。

国内と海外の工場間の連携も重要だ。ベトナム工場は金型の磨きレベルも高く、主力工場に成長した。ベトナム人は向上心も高く、技術だけでなく、日本語や礼儀作法も学ぼうとしている。それは「日本に行ける」ことがモチベーションになっているからだ。その間口をさらに広げ、幅広く受け入れる体制を作りたい。今はコロナ禍で帰国させ、2名のみ在籍しているが、次は6名を予定し、その半年後から増やしていく。日本は人手不足も深刻で、海外から来てもらえると国内工場も助かる。学んだ技術は海外工場へ持って帰ってもらえるので、海外工場もレベルアップする。好循環な環境を整備したい。

技術面の強化では。

昨今はヘッドランプの金型以外に四輪の内装部品など幅広く受注している。特に、意匠部の加工精度は顧客の評価も高い。そのため、高い加工技術をテーマに、各工場のレベルを底上げし、協力関係を築けば、設計や加工プログラムなど金型製作を分担で行い短納期化も実現できる。それには海外も含め工場間の連携強化が不可欠。また、同じプラスチック金型メーカーや他の型種の金型メーカーなど幅広く協業することも重要だ。国内の受注環境は非常に厳しくなっている。他社とも力を合わせ、情報交流や互いの技術レベルの強化につながる関係を築きたい。

金型新聞 2021年11月10日

関連記事

ユウワ CO2排出量の削減など環境負荷低減

脱炭素社会に向けた金型づくり スマートフォン向け電子部品などの微細精密モールド部品の金型から量産までを手掛けるユウワは、脱炭素社会の実現に向けた金型づくりを進めている。昨年7月から本社工場の全電力を再生可能エネルギー由来…

日本発条がササヤマと資本提携する理由【ササヤマ challenge!Next50】

自動車のシートなどを手掛ける日本発条は2015年、ササヤマと資本提携した。日本発条にとって技術連携のパートナーであるササヤマはどんな存在なのか。魅力、期待すること、今後取り組みたいことは。シート生産部の岡井広行氏と安田雅…

【金型応援隊】太陽テクニカ ダメ元でも相談を

一桁ミクロンの加工精度 「マシニングで出せない精度の穴加工は、是非任せてほしい」と語るのは、長年ジグボーラー加工やジグ研削加工に携わってきた、太陽テクニカの大畠正陽社長。同社は、航空・宇宙産業の部品から工作機械の主要精密…

南海モルディ 金型補修を自動化【金型応援隊】

特殊鋼材料の販売や金型のメンテナンスを手掛ける商社の南海モルディ(22年9月に南海鋼材から社名変更)は、オリジナル製品「予熱くん」や「肉盛りくん」を開発、販売し好評を得ている。 「予熱くん」は、製造前の金型予熱、焼き嵌め…

【金型の底力】山善金型 様々な顧客ニーズに応えられる会社に

限界を作りたくない生産工程を見える化 「様々な顧客ニーズに応えられる会社にしたい」と話すのは、山善金型の山下和也社長。同社は精密なプラスチック金型を武器に、日用品から自動車部品、医療機器など幅広い顧客を獲得。モットーは『…

トピックス

関連サイト