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MAY

06

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JIMTOF総集編 PART3:自動化
人口減少時代に備える

金型業界含め国内製造業は慢性的な人手不足を抱え、加工や測定工程で自動化を図ることが大きな課題となっている。そのため、これまで複数の機械で加工していた加工工程を1台の機械に集約し、段取り工程の削減や短縮、さらに、工程間の搬送をロボットや自動搬送ロボット(AMR)を組み合わせることで、現場の自動化を図っていくことが次の時代を勝ち抜くための大きなポイントと言われる。今回のJIMTOF2022も機械加工、測定工程などに関連する自動化ソリューションが多数展示されていた。

工作機械編

AMRとロボットを組み合わせた自動化システム(三菱電機)

DMG森精機

複雑形状な小物ワークの加工を1台に集約

旋削とミーリング工程を1台に集約した複合加工機「NTX500」は小型の複雑形状なワークを1台で加工。世界最小クラスの全長250㎜ながら、主軸最高回転速度42,000回転とターンミル主軸comapctMASTERを搭載。機内走行式ロボットシステムやバーフィーダなど様々な自動化システムとも連携可能で、同社は複数の加工工程を5軸加工機や複合加工機に集約し、検査工程など後工程部分をロボットでの搬送やセル生産方式を活用して自動化を図る仕組みを提案。

オークマ

機械にロボットや周辺機器を加え、加工セルを構築

工作機械にロボットと周辺機器を加え、ワーク脱着や計測など作業の自動化を図る加工セルをスマート化する加工セルコントローラ「smarTwinCELL(スマートツインセル)」を開発。複合加工機「MULTUS」とロボットのパッケージ、LB(旋盤)とMB(立形マシニングセンタ)とロボットの組み合わせで加工セルを構築し、ロボットの知識が無くても簡単にコントロール可能。

三菱電機

金型生産の自動化システムを構築

AMRと協働ロボットを組み合わせたロボットシステムとスケジューラで金型生産の自動化を実現。放電加工機だけでなく、あらゆる金型製造設備を接続することが可能で、独自開発のスケジューラを活用することで、工程内にある機械が停止しても自動調整し、止まらずにプログラムを流し続けることができる。AMRとロボット部分は協業するSlerが提供し、スケジューラと加工機械を三菱電機が提供する。

岡本工作機械製作所

砥石、ワーク交換をロボット化し、精密研削工程を自動化

超精密成形研削盤「UPZ52Li」と移動式ロボットシステム「GRIND-SELF」を組み合わせ、ワーク交換のみならず、砥石の自動交換も可能にした。今後は多品種少量加工の自動化に向けて、機上測定も組み合わせ、良品判断まで完結できる開発を進める。

ナガセインテグレックス

研削加工支援アプリで熟練加工を簡単に

熟練技能を持たない人でも簡単に加工できる研削加工支援アプリ「GRINDROID」を披露。最小12項目の加工要求仕様を入力するだけで、研削条件を含む加工システムを提示する。

同社は大学や研究機関、メーカー各社と共同で最適な加工システムを構築するAI搭載次世代研削盤の開発も進めており、加工中にセンシングし、AIが加工条件を示唆することの有効性を検証するなど商品化に向けて動いている。

シギヤ精機製作所

加工から測定まで一連の工程をロボットで自動化

CNC円筒研削盤、測定機、ワークストッカー、ロボットで研削加工を自動化するシステムを出品した。ストッカーからロボットがワークを取り出し、円筒研削盤にセット。加工した後、測定し、再度ストッカーに戻す一連の流れを披露した。モータシャフトのほか、パンチやピンなど金型部品などにも有効。

三井精機工業

加工前の芯出し、砥石の計測、加工後のワーク測定まで自動化

機上計測装置を搭載したジグ研削盤「J350G」は加工前の芯出し、砥石の計測、加工後のワーク測定を機上で行い、熟練作業者しかできなかった1~2μmの追い込み加工を自動化することができる。

三井ハイテック

機上測定と補正パスでパンチを高精度に加工

小型多機能研削盤「HPR-PCNCF-R’」で高精度な金型パンチを加工する技術を展示した。1次加工したワークの複数個所を先端R25μmの独自のプローブで測定。そのデータをもとに自動で補正加工パスをつくり仕上げ加工する。タッチプローブで測定するため、カメラなどによる非接触と比べて、曲面形状も正確に測り、補正パスをつくる。このため熟練技能者でなくても精密なパンチを高精度に加工できる。

砥石、ワーク交換をロボット化(岡本工作機械製作所)

測定工程

異常検知の自動化ライン(ミツトヨ)

ミツトヨ

ロボットによる異常検知の自動化ライン

焦点距離を自動で調節できるレンズ「タグレンズ」とロボットを活用し、異常検知の自動化ラインを披露。自動で焦点距離を調節できるため、位置決めのズレがあるロボットに搭載しても正確な測定が可能。測定したデータはグーグルクラウドと連携し、AI学習により異常検知につなげることができる。

また、協働ロボットと三次元測定機、ストッカーを組み合わせた自動化パッケージ「シンプルシステム」はQRコードでワークを識別し、必要な測定プログラムを自動で読み込むことができ、多品種少量ワークにも対応。

バリ取り・研磨編

ジーベックテクノロジー

バリ取りの自動化を次のステージへ

従来からロボットによるバリ取りの自動化を提案してきたが、ファイバー砥石の摩耗を制御しなければ完全な自動化ができないという課題に応え、今回発表したのが「CPSホルダ」(発売時期は未定)。圧力を電気制御するホルダで、常に最適な突き出し量の調整を自動で行う。さらに、収集したデータを蓄積し、最適な条件を導き出せれば、常に最適な突き出し量を出すことも可能だ。

ヤマシタワークス/日本スピードショア

研磨剤の湿度を一定にし、エアロラップの完全自動化へ

エアロラップの自動化を展示。課題だった研磨剤の湿度を保つために、自動で水分供給できる装置を開発。常に最適な研磨剤(マルチコーン)を供給できるようになり、ロボットシステムと組み合わせた完全な自動化を可能にした。

日本精密機械工作

ロボット用のバリ取りスピンドルを披露

ロボット用のバリ取りスピンドル「リューターペグラ」(参考出品)は高精度なアンギュラベアリングを内蔵し、ビビリを抑制。ボディにステンレスを採用し、高強度と耐腐食性も確保。ブラシレスモーターを内蔵し、5万回転でも高い静音性能を誇っている。昨今、ロボットメーカーやSlerからのロボット向けに対する問合せも多く、開発を進めていた。

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