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最新の金型補修機器・技術7選【Breakthrough】

金型の摩耗や欠け、ヘタリなどを補修するのに欠かせない肉盛溶接機。TIGやレーザーなどさまざまな方式が存在し、より作業性やスピードを向上させたモデルなどが登場している。また、最近ではAM技術を活用し、加工と補修を1台に集約できる複合加工機の開発も進む。今回のBreakthroughでは最新の金型補修機器・技術を紹介する。

PART1:ALPHA LASER JAPAN「出力1200Wのレーザー溶接」
PART2:三和商工「安価に金型補修を実現」
PART3:テクノコート「溶接部を観察しながら作業可能」
PART4:テラスレーザー「熱影響の少ない高品質な溶接」
PART5:オークマ「5軸MCでAM・焼入れも」
PART6:DMG森精機「金属積層と旋削・ミーリングを1台で」
PART7:ヤマザキマザック「市販ワイヤ使用で扱い容易」
PART8:記者の目

PART1

ALPHA LASER JAPAN「出力1200Wのレーザー溶接」

ファイバーレーザー溶接機「ALFLAK1200」

「ALFLAK1200」は、出力1200Wのファイバーレーザー溶接機。肉盛溶接では世界最大の出力で、より広い面積を高速で肉盛溶接することができる。また、ワイヤだけでなく、粒子径30~150μmの金属パウダー粉末を使用した肉盛溶接にも対応する。

大型金型や、従来はTIG溶接で行っていた補修量の多い肉盛溶接などに適している。その他、海外では蒸気タービンのロータフィンの修理・補修などにも活用されており、日本市場でも提案を始めている。

また、ワイヤを自動で供給するオートフィーダー搭載モデルなども揃えている。人手不足が深刻化する中、熟練作業者でなくても簡単に肉盛溶接を行うことが可能。作業現場の改善、安全性の向上などにつなげることができる。

PART2

三和商工「安価に金型補修を実現」

高精度精密TIG溶接機「WELDPRO SW-V02」

レーザーを凌駕する金型補修溶接を実現するTIG溶接機。各種金型(業種:プラスチック・ダイカスト・プレス・ゴム・ガラスなど、金型材質:鉄系・SUS系・熱間冷間工具鋼・鋳物・アルミ・銅合金など)の補修肉盛溶接に適している。

使用できる溶接線径がφ0.1~2.0㎜と幅広く、補修箇所に合わせた選択が可能。溶接電流値2~250A、アーク照射時間1~600ミリ秒と、幅広い設定ができる。アルミ・銅合金用の直流溶接モード(特許取得済)を搭載している。

レーザー溶接機に比べ、大幅に安価に導入できる。レーザー専用室を設けるなどの大がかりな安全対策は必要なく、アーク溶接の安全対策で使用できるため、周辺設備への投資を最小限に抑えることが可能。また、小型で移動が容易なため、大型金型の補修などにも適している。

PART3

テクノコート「溶接部を観察しながら作業可能」

「スマートレーザー」、「スマートトーチ」

テクノコートは30年以上の日本国内での金型補修機メーカーとしてのノウハウを活かし、ハンディトーチによるレーザー肉盛溶接の「見える化」を実現した「スマートレーザー&スマートトーチ」を開発した。

トーチに搭載された小型カメラで金型補修部を観察しながら溶接を行うため誰でも簡単に高品質な溶接が可能。フリーハンドで自由自在に溶接作業ができ、面倒な段取りが不要で、「成形機上でのPL部のバリ補修」「大型ダイカスト金型をバラさずにクラックの溶接補修ができる」など圧倒的な現場作業性を実現した。

顕微鏡などの周辺機器と組み合わせる事で大型~小物ワークまで幅広く対応できる高い拡張性も兼ね備え、全国各地での出張デモにも対応しており現場でその作業性を体感する事もできる。

PART4

テラスレーザー「熱影響の少ない高品質な溶接」

YAGレーザー溶接システム「T-LASER」

低出力帯に特化したレーザー溶接システム。パルス入力のため、ワークに熱をためず、母材に熱の悪影響(歪み・ヒケ・硬度変化など)が少ないため高品質な溶接が可能。プラスチック・ダイカスト・プレス金型等の精密金型や高価な機械部品の肉盛補修に適している。

光への変換効率が良い安定したレーザービーム品質が特長。加えて、独自のソフトウエアや補助機能の搭載により、熟練の溶接技術が誰でも簡単にできることを可能にした。肉盛補修のためのティーチングシステム「T‐TRACK」は、課題だった三次元複雑形状へのアプローチを可能にする。

さまざまなワークサイズに対応する豊富なラインナップを揃える。また、迅速な技術サポートや、メンテナンス、ニーズに応じたカスタマイズなどにも対応する。

PART5

オークマ「5軸MCでAM・焼入れも」

次世代型超複合加工機「MU-V LASER EX」シリーズ

5軸制御マシニングセンタに最先端レーザ加工を融合したスマートマシン。ミーリング、旋削、研削加工に、焼入れ、金属積層造形を加えた究極の工程集約を1マシンで実現した。

1つの加工ヘッドでアルミ合金、チタン合金など融点や比重の異なる数多くの材質に対応するだけでなく、高精細な積層造形から1層あたりの積層高さが1㎜を超える高能率造形まで実現できる。

金型の補修や形状追加をワンチャッキングで行うことができる。プレス金型のワークの損傷した部分を除去する加工を行った後、積層造形をして、仕上げの切削加工を行うことで金型の補修が可能。また、金型の形状に変更が生じた場合には、不純物などを切削除去後に、積層造形をして、仕上げの切削加工を行うことで形状追加が可能。

PART6

DMG森精機「金属積層と旋削・ミーリングを1台で」

レーザ金属積層造形機「LASERTEC 3000 DED hybrid」

金属積層造形と旋削・ミーリングをワンチャッキングで実現するレーザ金属積層造形機「LASERTEC 3000 DED hybrid」はDED方式を採用し、ノズルから金属材料粉末の噴射とレーザ照射を同時に行い溶融・凝固させる。造形時間が早く、大型ワークに最適で、φ400×1321㎜まで対応し、金型などの補修もワンチャッキングで破損個所の切削から積層、同時5軸による仕上げ加工を行う。

また、パウダ供給装置から異なる金属材料粉末を切り替えて供給でき、1つのワーク上に異なる材料の積層造形も可能。複数の素材を融合させて1つの製品にできるほか、異なる金属材料粉末を混ぜ合せて供給することもできるため、複合材の造形にも適しており、様々なワークの造形・補修・コーティングに対応する。

PART7

ヤマザキマザック「市販ワイヤ使用で扱い容易」

ハイブリッド複合加工機「VARIAXIS j-600 5X/AM)」

高精度同時5軸マシニングセンタに金属積層造形機能(ワイヤアーク式AM)を搭載。

欠損・摩耗した金型部品の補修のほか、建設機械や破砕機のカッター刃の硬化肉盛補修や単品大物鋳物部品の製造、バルブシート部への耐摩耗性材料の肉盛、航空機部品など耐熱性、耐食性を要する部品の製造が可能。

市販の溶接用金属ワイヤを使用でき、管理、取扱いが安易でありコスト面でも安価。今まで手溶接で行ってきた蓄積されたノウハウや加工条件をそのまま活かすことが出来る。ワイヤアーク式AM後に段取り換え無しで切削加工による仕上げを行うことができ工程集約が可能。高精度な仕上げ面と加工精度が得られる。

造形速度が早く、設備導入にかかる費用も抑えることができ、特にAMの入門として最適。

PART:8

記者の目

金型補修の現場でも、熟練技能者の減少は大きな課題となっている。機器メーカー各社は、こうした課題の解決に向けて、自動化技術や、経験の浅い作業者でも扱える機器の開発などに注力している。また、AM技術を金型補修に適用し、補修から加工を一気通貫で行う提案も増えている。これから先、技能者不足はより深刻化するとみられている。金型補修のさらなる技術革新に注目したい。

金型新聞 2022年12月10日

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