金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

31

新聞購読のお申込み

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –欧州–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州それぞれの国・地域に進出する5社を取材した。

大貫工業所 大貫啓人社長

  • 本  社:茨城県日立市森山町5‐10‐8
  • 電  話:0294-53-3821
  • 代表者:大貫啓人社長
  • 創  業:1956年
  • 従業員:50人
  • 事業内容: 精密プレス金型設計製作、プレス精密加工部品など

高付加価値の仕事求め

 きっかけは10年ほど前。欧州を視察した時のことです。様々なローカル企業を見学したのですが、衝撃を受けました。従業員2人の加工メーカーが、最新鋭のマシニングセンタを5台も設備していたのです。

 なぜそんな投資が可能か。それは仕事の単価が高く、収益性が良いからです。先のメーカーに聞くと、単価は日本の2~5倍。これは欧州に進出しない手はないと考え、翌年にドイツ・ミュンヘンで開催された展示会に出展しました。

 当社は精密プレス金型の製造から量産までを手掛け、主に自動車向けのコネクタ品や深絞り品などを得意としています。

 展示会では多くの企業がブースに足を止め、「これをプレス加工できないか」と図面を見せながら聞いてきました。そこで感じたのは、欧州は機械加工の技術は圧倒的ですが、プレス加工はそうでもないということ。勝ち目があると感じました。

技術開発で、さらに拡大

 2017年にスイスの光学機器メーカーから受注を獲得し、そこから徐々に受注を増やしていきました。現在は月数百万円ほどの売上があります。現在も電気自動車(EV)関連の部品や音響関連機器などの引き合いがあり、話が進んでいます。

 課題は言葉です。英語なので基本的なビジネス会話は支障ありません。問題は業界特有の専門用語。例えば「シゴキ加工」という言葉は英語にはありません。「ironing draw」と英訳しても伝わらない。物を見せて何度も説明し、何とか理解してもらっています。

 やはり売れる物がなければ仕事は取れません。当社は研究開発型企業を目指しており、以前から様々な独自技術の開発に取り組んできました。現在はステンレスのプレス加工に挑戦しています。今後もこうした技術開発を続け、世界中から注目されるものを作っていくつもりです。将来的には欧州だけでなく、アメリカなど他の地域にも広げていきたいですね。

※他4ヵ国は下記リンクから

金型新聞 2020年7月1日

関連記事

情報収集や課題解決の場に 砥粒加工学会 会長インタビュー

今年3月、研削や研磨など砥粒加工技術の振興、発展を目的とした活動を行う砥粒加工学会の会長に就任した清水大介氏(牧野フライス精機社長)。金型メーカーに対して、「生産現場に直結した技術の発信を行う砥粒加工学会を情報収集や、加…

江口博保さん 研さん重ねる金型設計の熟練者【ひと】

自動車のフィックスドウインドウやクォーターウィンドウ。その成形コストや歩留まりを改善し、環境に配慮した金型も設計した。顧客製品設計の最終確認会にも出席しアドバイスする。それらが評価され、令和2年度「現代の名工」に選ばれた…

久野金属工業 金型・プレス・組立一貫生産【金型の底力】

プレス業界の活性化に ハイテン材など高張力鋼板や難加工材のプレス金型及びプレス加工を手掛ける久野金属工業は、次世代車向けのプレス部品の製造を強化するため、約30億円を投じ、愛知県豊明市に新工場を建設。金型からプレス加工、…

城南村田 フェイスシールドを製作

コロナをチャンスに  「金型メーカーとして、コロナ禍で何かできることはないかと思ったのです」。そう話すのは、金型技術を活かし、フェイスシールドを作成した城南村田(東京都大田区、03-5744-3555)の青沼隆宏社長。 …

新たなバイオ樹脂を開発、金型と素形材をつなげ新しい価値を創出する 茄子川仁氏(事業革新パートナーズ社長)【鳥瞰蟻瞰】

金型業界に特化した調査やコンサルティングを手掛けてきましたが、2018年にバイオ樹脂の一つである「ヘミセルロース」の開発や成形に乗り出しました。社名にある「革新」的なことを実現するには、コンサルティングだけでは限界がある…

トピックス

関連サイト