金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

23

新聞購読のお申込み

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –欧州–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州それぞれの国・地域に進出する5社を取材した。

大貫工業所 大貫啓人社長

  • 本  社:茨城県日立市森山町5‐10‐8
  • 電  話:0294-53-3821
  • 代表者:大貫啓人社長
  • 創  業:1956年
  • 従業員:50人
  • 事業内容: 精密プレス金型設計製作、プレス精密加工部品など

高付加価値の仕事求め

 きっかけは10年ほど前。欧州を視察した時のことです。様々なローカル企業を見学したのですが、衝撃を受けました。従業員2人の加工メーカーが、最新鋭のマシニングセンタを5台も設備していたのです。

 なぜそんな投資が可能か。それは仕事の単価が高く、収益性が良いからです。先のメーカーに聞くと、単価は日本の2~5倍。これは欧州に進出しない手はないと考え、翌年にドイツ・ミュンヘンで開催された展示会に出展しました。

 当社は精密プレス金型の製造から量産までを手掛け、主に自動車向けのコネクタ品や深絞り品などを得意としています。

 展示会では多くの企業がブースに足を止め、「これをプレス加工できないか」と図面を見せながら聞いてきました。そこで感じたのは、欧州は機械加工の技術は圧倒的ですが、プレス加工はそうでもないということ。勝ち目があると感じました。

技術開発で、さらに拡大

 2017年にスイスの光学機器メーカーから受注を獲得し、そこから徐々に受注を増やしていきました。現在は月数百万円ほどの売上があります。現在も電気自動車(EV)関連の部品や音響関連機器などの引き合いがあり、話が進んでいます。

 課題は言葉です。英語なので基本的なビジネス会話は支障ありません。問題は業界特有の専門用語。例えば「シゴキ加工」という言葉は英語にはありません。「ironing draw」と英訳しても伝わらない。物を見せて何度も説明し、何とか理解してもらっています。

 やはり売れる物がなければ仕事は取れません。当社は研究開発型企業を目指しており、以前から様々な独自技術の開発に取り組んできました。現在はステンレスのプレス加工に挑戦しています。今後もこうした技術開発を続け、世界中から注目されるものを作っていくつもりです。将来的には欧州だけでなく、アメリカなど他の地域にも広げていきたいですね。

※他4ヵ国は下記リンクから

金型新聞 2020年7月1日

関連記事

金型にも「情報管理」の波

金型にも「情報管理」の波

「技術等情報の管理認証制度」設立  IoT化やグローバル化などによって、情報流出のリスクが高まる昨今、製造業には技術などの情報の適切な管理が求められている。金型業界も例外ではなく、「顧客情報がしっかり管理、保護できている…

「金属AMはプロセスの一つ、目的は顧客の課題解決」日本精機常務・松原雅人氏【鳥瞰蟻瞰】

金型メーカーから技術を発信 粉末やレーザーなど、多くの要素を最適に制御しなければいけないため、金属3Dプリンタによる金型づくりは簡単ではありません。また、何でも作れる魔法の杖でもありません。それでも参入したのは、切削加工…

【インタビュー】テラスレーザー常務・齋藤祐司氏「高品質・低価格で金型補修」

 テラスレーザー(静岡市駿河区、054-270-7798)は、2019年に設立された金型補修用レーザー溶接機メーカー。高品質でありながら低価格を実現し、独自技術を活かしたユーザビリティの高い製品を提供する。「『直す』とい…

【新春特別インタビュー②】大垣精工会長・上田 勝弘氏「他社よりも一歩先へ、好循環生まれる体制を」

勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜  1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型…

田岡秀樹氏

【プレス型特集】
本田技研工業 田岡 秀樹氏に聞く
プレス型メーカーの目指すべき方向性

自分の強み生かす道を 本田技研工業 完成車新機種推進部 主任技師 田岡 秀樹氏に聞く 高級車か、低価格車か、2極化も 金型なくして新車開発ならず 自動運転、ライドシェア、電気自動車(EV)の進化―。自動車業界では急激な変…

トピックス

関連サイト