射出成形機や押出成形機、各種金型に欠かせないもの、それは工業用ヒーターだ。バンドヒーターやマイクロシーズヒーター、カートリッジヒーターなど工業用ヒーターを手掛ける平和電機は長年培ってきたノウハウを活かし、顧客の課題解決に…
特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –中国–
新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州それぞれの国・地域に進出する5社を取材した。
長津製作所 牧野俊清会長
- 本 社:神奈川県川崎市中原区中丸子57
- 電 話:044-433-8371
- 代表者:牧野俊清会長
- 創 業:1950年
- 従業員:650人(海外含む)
- 海外拠点:中国、フィリピンなど3拠点
- 事業内容: 精密樹脂金型の設計製作、部品製造
中国は良きライバル

- 本 社:神奈川県川崎市中原区中丸子57
- 電 話:044-433-8371
- 代表者:牧野俊清会長
- 創 業:1950年
- 従業員:650人(海外含む)
- 海外拠点:中国、フィリピンなど3拠点
- 事業内容: 精密樹脂金型の設計製作、部品製造
当社が中国に進出したのは1994年。メイン顧客の光学系ユーザーの多くが中国に出始めたので、補修から始めました。営業目的で型づくりは全く考えていなかったですね。金型は人や設備が必要ですし、技術流出の懸念もありましたから。金型が必要な時は協力先(現合弁先の金安電触)から調達していました。
01年に金安電触と深圳(18年東莞に移転)に合弁で工場を設立し、成形を始めました。この時も鏡筒など難しい金型は日本で作り、それ以外の金型は合弁先に依頼していました。当時中国の金型の全体評価は低かったですが、企業によって既に技術は高かったように思います。06年に業容拡大で無錫に工場を作った際に、金型の内製を始めました。合弁先から人材の応援もあったからです。
その後の中国の成長は誰もが知るところで、金型生産量世界一になりました。合弁先の成長がそれを物語っています。25年前は20人程度でしたが、グループで1000人を超える規模になったこともあります。
しかし、今の中国は変化点にあるように思います。人件費の高騰に加え、コロナの影響もあって、チャイナ+1の流れが強まっているからです。当社も17年にフィリピンに成形工場を設けました。
内製高め、車部品強化
もう一つは構造変化でしょうか。樹脂型の多くの企業が自動車業界に向いているように思います。多くの型メーカーが展示会では自動車向けをPRし、家電のハイアールもバンパーの金型を展示しているほど。当社も中国事業全体の売上高は25億円ですが、自動車向けを高めたいと考えています。現地での金型供給は、合弁先より内製に変換しつつあります。
中国に対する見方は色々あると思いますが、金型づくりでは「良きライバル」と考えなければいけないと思っています。設備や自動化など日本より進んでいる部分は多い。切磋琢磨し成長していければと思います。
※他4ヵ国は下記リンクから。
金型新聞 2020年7月1日
関連記事
営業改革や自社ブランド開発 まつやま・ひろのぶ1980年生まれ、東京都出身。2004年立教大学卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、営業、企画などを経験した。19年扶桑精工に入社、20年同社社長に就任し、現在に…
サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏 1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。…
T・D・Cモールド 製造部 製造係 松尾 由貴子さん 加工精度±2μm以内の微細精密な金型のモデリングや加工プログラムを作成する。そのスキルは社内外でも高く評価され、昨年には工作機械メーカーの碌々産業が優れた加工技術者に…
金型以外にも視野 原点から新たな発見 日本金型工業会東部支部天青会の会長に今年5月、就任した。「原点に立ち返って、色々な視点から根本を見直せるような活動をしていく」と今年度のテーマに「原点回帰」を掲げる。 天青会に入…