金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

07

新聞購読のお申込み

微細加工でブランド化 稲垣哲也氏(アイジーエヴァース社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められている。既存の事業を強化するのか、派生技術を伸ばすのか、あるいは新事業に手を伸ばすのか。さまざまな戦略が考えられる。金型メーカー経営者にインタビューし、次の10年を勝ち残るための戦略について聞いた。

派生技術を伸ばす

自動車部品向けの鍛造、プレス、樹脂など様々な金型製作を行うアイジーエヴァースは近年、微細加工技術の強化を進め、切削加工ドリームコンテスト2022(DMG森精機主催)で金賞を受賞するなど高精度・高難度な加工に挑戦している。

アイジーエヴァース 稲垣徹也社長

今後需要が高まるEV部品は高精度化が求められる。微細加工なくして高精度、高難度なものは作れないと考え、設備投資や技術開発を進めたのがきっかけ。微細加工はアートにも近く、企業のブランディングにつながるといった強みもある。

微細加工の要求精度を実現するには、恒温工場の空調完備、微細CAM及び機械オペレータのスキル向上、機械・工具・加工条件のデータベース化が重要で、トライ&エラーを繰り返し、加工技術を進化させる必要がある。直近、多数の展示会にも出展し、少しずつ微細加工の試作や車以外の市場からも依頼が増えてきた。

将来、金型の需要は減少傾向と思われる。その中で生き残っていくには現在の柱である金型製作、EV部品試作加工に加え、新しい市場の開拓も必要。それには他社にない価値を創らなければならない。

今年4月、新本社工場が完成し、微細加工も含め、新たな価値の創造を進める。それは5軸加工による微細加工(±2~3μm)の実現に加え、材質やサイズの異なる多品種なワークを自動で加工できるシステムの構築を検討している。日本のものづくりが世界に勝るには『超短納期』で顧客に対応すること。先が読めないからこそ、時流が動いた時にいち早く対応できる体制を整えておくことが最善と捉えている。

他の特集記事は以下から

金型新聞 2023年1月10日

関連記事

2年に1度の専門展「2022日本ダイカスト展示会」開幕 見どころをピックアップ

ダイカスト関連技術が一堂に会する「2022日本ダイカスト会議・展示会(j-dec2022)」が11月10日から12日までの3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される。主催は日本ダイカスト協会。展示会にはダイカストマ…

金型メーカーの新分野展開が加速する

事業再構築補助金を活用 金型メーカーの新分野展開、業態転換が加速している。コロナ禍や、自動車の電動化などによって事業環境が大きく変化する金型業界。多くの金型メーカーが2021年からスタートした「事業再構築補助金」を活用し…

特集 : 金型づくりを変える6大テーマ
関連技術編

注目技術7選!! 放電加工機を遠隔保守三菱電機  iQ Care Remote4U(アイキューケアリモートフォーユー)  IoT技術を活用して、放電加工機の様々な情報を収集・蓄積し、遠隔地からリアルタイムで確認・診断する…

自動化で年4400万円のコスト減 月平均600時間稼働【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

JIMTOF総集編 PART2:DX、デジタルツイン
加工プログラムや解析、自動で

JIMTOF2022で次世代の技術としてひときわ注目を集めたのがデジタル技術だ。IoTやAI、クラウドなどを活用し機械の稼働状況監視や加工の不具合低減に生かす。金型づくりでもデジタルトランスフォーメーション(DX)が課題…

トピックス

関連サイト